第12章 セダウミッションを始める

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セダウでは、ペリーとレリースはアタップ川(アタップ・コン)のほとりにある借家に住んでいた。その村の家々にはまだ電気が通っておらず、夜になると真っ暗であった。夜になると、暗闇の中で家の床下からカエルの鳴き声が響き渡った。というのも、夕方になると海水が満ちて川の水位が上がり、家の床下まで水が入り込んでくるからだった。夜になると、二人にとっては本当に安らぐことが難しかった。まさに、あまりにも長い一夜だった。彼らはその家で、ベッドもなく、むしろの上に寝ることになった。

翌朝、二人はキッチン用品が入った段ボール箱を開けた。中には皿、コップ、スプーン、フォークなどが入っていた。レリースは、それらを洗いやすくするために村人たちが水をくみ、洗濯や入浴にも使っている共同の湧き水の場所へ持っていった。この村の家々には水道設備がなく、井戸もない。その湧き水だけが、全住民で共用する唯一の水源だった。

レリースが皿やコップなどを洗おうとしたとき、その場にいた女性たちは自分たちの作業をやめて、彼女の食器を見に集まってきた。彼女たちはその食器に見とれ、あれこれと話しかけてきた。しかし、レリースには彼女たちの言葉がよく理解できなかった。彼女たちは地元のマレー語と客家(ハッカ)中国語を話していたが、ペリーとレリースにとっては、どちらも初めて耳にする言語だった。それもそのはず、この地域では当時まだ台所用品は粗雑な地元産の陶器や、ヤシの実の殻、または硬い皮の果物の殻で作られたものが一般的だったからだ。

この出来事以来、レリースはもう湧き水の場で食器を洗いたくないと思った。そこで、ペリーがその湧き水から水を汲んで家に運び、台所で洗うことになった。

最初の数か月間、二人はまるで外国、異国の地にいるかのようだった。村人たちの言っていることが全く理解できなかった。マレー語ですらまだ馴染みのない言葉が多く、それに加えて客家語、時にはダヤク語まで飛び交っていた。まさに、二人は戸惑うばかりだった。ペリーとレリース以外に、お互いに完全に通じ合える言語で話せるのは、診療所の職員二人だけだった。

この出来事は、セダウでの宣教奉仕を始めたばかりのペリーとレリースにとって、最初のユニークな体験ではなかった。これからも彼らは、さらに多くの、時には劇的とも言えるような体験をすることになる。そのすべてが、主の僕としての尊い使命に関わる奉仕の中での出来事だった。

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