第16章 お化け屋敷

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ペリーとレリースがセダウに滞在していた間に体験した興味深い出来事のひとつが、アドベンチスト・セダウ診療所での任務期間中に住んでいた借家に関するものでした。当時、彼らはプマタン村にある比較的大きくて立派な木造家屋に住んでいました。その家は、構造、壁、床、屋根すべてが木で作られており、地域としてはかなり良い家でした。家の前にはテラスがあり、台所は母屋とは別棟になっていました。敷地も広く、周囲にはココナツの木や茂みが生い茂っており、他の家々からはやや離れた場所にありました。

ペリーとその妻が知っていた限りでは、その家はアドベンチスト・セダウ診療所によって5年間の契約で借りられており、家賃もかなり安価でした。彼らは時折、「なぜこんなに良い家がこんなに安く借りられるのだろう」と不思議に思っていました。ところが、その疑問の背景にはある理由が隠されていたのです。

後に分かったことですが、それ以前の借家人たちは誰一人として半年以上住み続けることができなかったそうです。というのも、夜になると天井裏から音が聞こえたり、悪夢を見たりと、不気味な出来事が頻繁に起こるという理由で、皆早々に契約を解除して引っ越してしまっていたのです。支払った契約金も戻らないというのに、ほとんどの人は退去を選びました。その話を聞いたとき、ペリーとレリースはようやく納得がいきました。診療所側が5年契約を申し出た際、家主が喜んで値引きに応じたのは、どうせ長くは住まないだろうと踏んでいたからだったのです。ところが、その予想は外れ、数年経っても彼らはその家に住み続けていました。

確かに、最初の頃は夜中に天井から物音がして不気味でした。その騒音がしばらく続いたある日、彼らは思い切って天井のパネルを開けて中を覗いてみることにしました。するとそこには、鶏や魚の骨などが大量に散乱しており、それらはすべてネズミの仕業だったことが判明しました。原因が分かった彼らはすぐに天井裏を掃除し、それ以降は騒音に悩まされることはなくなりました。

当初の生活には、ほかにも興味深いエピソードがありました。彼らが引っ越してきたとき、家の敷地はゴミだらけで雑草も生い茂っており、長い間人が住んでいなかったことが一目で分かりました。清掃のために敷地の前の隅に穴を掘り、集めたゴミをその中に入れて燃やしていたところ、近所の住民がやってきて、「夕方にココナツの葉を引きずると幽霊に取り憑かれる」と忠告してきました。また、「敷地の端でゴミを燃やすと幽霊が家に来る」とも言われました。彼らが住んでいた村では、迷信やタブーがまだ強く信じられていたのです。

ペリーは礼儀正しくその忠告に感謝を述べた上で、「申し訳ありませんが、私はその忠告に従うつもりはありません」とはっきり伝えました。「そのような行動をしても、幽霊が家に来ることはないと私は信じています」と説明しました。住民はがっかりし、「そのせいで幽霊が村にやってきたらどうするんだ」と不安げでしたが、ペリーは「もし幽霊が来たら、私たち夫婦にだけ取り憑くように幽霊に伝えてください。他の人には迷惑をかけません」と冗談交じりに言いました。

また、その地域はマラリア蚊が非常に多かったため、彼は夕方になると敷地内に火を焚いて蚊を追い払っていました。幸いにも、そうした行動をしても、彼らに悪いことは何一つ起こりませんでした。

ある日、家の前で座っていたところ、一団の若者が彼に話しかけてきました。「この家で夜に変な夢を見たりしませんか?」と。ペリーはその意味が分からず、冗談まじりに「ええ、夢を見たことはありますよ。夢を見ないで寝るのはつまらないですからね。天女に会う夢なんか見ると、とても楽しいです」と答えました。若者たちはそれ以上何も言わずに去っていきました。

それからしばらくして、同じ若者たちがまたやってきて、「あの家に住んでいて本当に大丈夫ですか?」と尋ねました。理由を聞くと、数日前の深夜、町から帰る途中にその家の屋根から火のような光が立ち上っているのを見たのだと言います。ペリーはその話を初めて聞き、「私はそんなことは知りませんでした」と答えると、彼らは再び立ち去っていきました。

奇妙なことはそれだけではありませんでした。ある日、隣人のひとりがやってきて、「あの家で何か不思議なことはありませんでしたか?」と聞いてきました。理由を尋ねると、彼は数日前の深夜、家の前を通ったときに、白い服を着た3人がテラスに立っているのを見たと言うのです。ペリーは、「それは私たちを守っている神の御使いですよ」と答え、「この村の誰も私たちやこの家に危害を加えようとしないように、あなたから皆に伝えてください」と言いました。

それ以来、彼は「なぜ3回も同じような奇妙な質問をされるのか」と疑問を持つようになり、村人たちとの会話を重ねていくうちに、彼らが住んでいる家は「お化け屋敷」として有名であることが分かりました。過去の借家人たちの体験談が、その噂をより強固にしていたのです。しかし、ペリーとレリースはまったく恐れることなく、その家での生活を楽しんでいました。彼らは、神が確実に自分たちを守ってくれていると信じていたのです。

その家での生活の間、彼らに悪いことは何ひとつ起こらず、日々の仕事や生活も問題なくこなしていました。そのため村人たちは、彼らのことを「呪術師」か何かだと考えるようになりました。なぜなら、村人たちが恐れているものを彼らはまったく恐れていなかったからです。

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